北海道のオホーツク海ではこの時期、ホタテ漁が最盛期を迎えている。中国による日本産水産物の全面禁輸措置が緩和される見通しが示され、漁業関係者には歓迎ムードが漂った。
一方で昨年の禁輸から約1年、日本の海産物の中で「王様」と言われる主力商品ホタテの産地からは恨み節も聞こえる。地元の漁協では「さんざん振り回されてきた」という思いも根強い。
禁輸前の2022年、ホタテの輸出は約29万トンで、うち中国が約14万トンと半分を占め、最大の「お得意様」だった。しかし、突然の禁輸措置で、各漁業者は在庫の山を抱えた。政府の支援のもと、米国や東南アジアへの輸出や国内消費の拡大を進め、昨冬ごろには販売が好転し、先行きが見えてきた。
こうした経緯を踏まえ、ある漁師は「何を今さら、という思いもある」と話す。また、漁協関係者は「これで本当に輸出再開となるのか。確定するまで一喜一憂できない」と冷静だ。
じりじり上がるホタテ価格
販路開拓などの成果で、現状…